バンクーバーカナダ 49° N · 123° W 更新 Apr 2026
UBCにあるこの日本庭園は、戦時中の破壊とその修復の歴史を背負っています。いまではカエデの木陰、苔、水の気配が、バンクーバーの時間を1時間だけささやき声ほどの静けさに変えてくれます。
平和条約のように読める日本の茶庭が、カナダ、バンクーバーの西端にあります。新渡戸記念庭園が訪れる価値を持つのは、その美しさがただ心拍を落ち着かせるだけではないからです。橋も、カエデも、石もひとつずつ、追放と修復、そして日本とブリティッシュコロンビア州をつなぎ直そうとした長い努力の物語を背負っています。熊手で整えられた砂利と、雨に濃くなる杉の静けさを味わいに来てください。そして、この場所の見え方を変えてしまう歴史のほうにも、少し残ってみてください。
新渡戸記念庭園はブリティッシュコロンビア大学キャンパス内の1895 Lower Mallにあり、UBC植物園はこれを日本国外でもっとも本格的な日本庭園のひとつとして紹介しています。形式は回遊式庭園で、その中心に茶庭があります。反時計回りにゆっくり歩くことが前提で、進むにつれて景色が映画のカットのように現れていきます。
ただ、その空気にだまされそうになります。松の間を風が抜け、水がバンクーバーの淡い光を受け、庭全体が実際より古く見えるからです。けれどこの庭園が開いたのは1960年5月3日。戦争によって、この場所にあった最初の記念庭園がすでに傷つけられた後のことでした。
その緊張感こそが、新渡戸記念庭園の力です。ここで向き合うのは、ただキャンパスに置かれた美しい輸入品ではありません。未割譲のマスキームの土地にある新渡戸稲造の記念庭園であり、ブリティッシュコロンビア州が日系カナダ人の暮らしを引き裂いたあと、日本人と日系カナダ人の手によって再建された場所なのです。
歴史
多くの来園者にとって、新渡戸記念庭園はUBCの中にひっそりとある静寂の庭です。けれど記録をたどると、その穏やかな物語はそこから始まりません。最初の記念庭園はすでに1935年7月26日までにはここに存在しており、その中心には、新渡戸稲造が1933年10月15日にビクトリアで亡くなった後、日本から贈られた春日型灯籠が据えられていました。
その後、戦時中の反日人種差別が、法律と略奪の力を伴ってブリティッシュコロンビア州を襲います。UBCによれば、カナダが2万人を超える日系カナダ人を強制移住させ、財産を没収し、1949年4月1日までBC州沿岸への帰還を禁じていたその時代に、破壊者たちは元の記念庭園にも損傷を与えました。
転換点
森蘊介が1959年にUBCへ来たとき、その肩にのっていたのは設計の仕事だけではありませんでした。戦時中の憎悪によって辱められた記念庭園を再建するため、日本政府は千葉大学の造園家である森を選びました。彼自身の名声だけでなく、戦後日本の尊厳もまた問われていたのです。
UBCの記録によれば、森は14か月をかけて、地元の日系カナダ人庭師たちとともに新しい庭園を造り上げました。石の据え方、松の剪定、ひと季節で崩れてしまいかねない構成の保ち方を教えながら。その労力には意味があります。日本庭園は善意だけでは残りません。
転機となったのは1960年5月3日、再建された新渡戸庭園が開園し、ノーマン・マッケンジー学長が水辺で挨拶した日でした。日系カナダ人が海岸部へ戻る権利を取り戻してから、11年が過ぎていました。その後、森は日本へ帰国し、ほどなく亡くなります。UBCによれば、新渡戸記念庭園は彼の最後の作品でした。
はい。とくに、大きな名所では得られないような静かな1時間を求めているなら、十分その価値があります。面積は2.5エーカーと、ホッケーリンク2面ほどの広さに見えますが、曲がるたびに景色がきちんと演出されています。飛び石、苔、鯉、77本の丸太橋、そして心を整えるために設けられた露地の先にある茶室。穏やかさの奥にある歴史も強く印象に残ります。戦時中の反日感情による破壊で以前の記念庭園が傷ついたあと、UBCがこの庭園を再建したのです。
しっかり見るなら45分から60分を見ておくのがおすすめです。20分から30分でも一周はできますが、それではこの庭の良さを取りこぼします。ここは足をゆるめ、水が石を伝う音を聞き、池や茶室のそばで何度か立ち止まる場所です。茶会に参加するなら、さらに1時間ほど足してください。
いちばん簡単なのは、バスでUBCまで行き、そこからキャンパスシャトルのRoute 68に乗るか、10分から15分歩くルートです。バンクーバー中心部からはR4、44、84、99などのバスでキャンパスまで直接行けます。ただしSkyTrainはUBCまで通っていないので、最後は必ずバスか徒歩になります。車なら、最寄りの公式駐車場はFraser River Parkadeです。
いちばん良い季節は晩春と秋です。春は桜の花びらが舞い、新緑のカエデがみずみずしい表情を見せます。秋には庭全体が赤と金に染まり、その色が池に映って、水にほどけた絵の具のように見えます。夏も花菖蒲の時期や茶会を目当てに行くなら悪くありませんが、静けさを味わうなら早い時間のほうが向いています。
はい、ただし条件付きです。0歳から5歳の子ども、庭園会員、UBCカード所持者、UNA Community Servicesカード所持者、MOA会員は無料で入園できます。2026年の一般大人料金はCAD 8.00で、ダウンタウンのコーヒーとペストリー1つくらいの値段です。誰でも入れる公式の無料開放日は見当たりませんでした。
見逃したくないのは、入口の石組み、新渡戸灯籠、滝の渡り場、亀島、77本の丸太橋、そして露地を抜けて茶室へ向かうアプローチです。公式マップにある"way of teenage rebellion"と書かれた行き止まりの小道にもぜひ入ってみてください。名前は冗談のようですが、そこにあるベンチからは庭全体を見返す、とても見事な眺めが得られます。橋のそばの記念碑も読んでおくと、この場所への理解が深まります。新渡戸稲造が望んだのは「太平洋の架け橋」になることだったと知ると、この庭はいっそう腑に落ちます。
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